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福岡地方裁判所小倉支部 昭和30年(ヨ)200号 決定

申請人 古谷博美

被申請人 小倉炭鉱労働組合 外二組合

主文

一、被申請人組合はいづれもその組合員を申請人炭鉱の第二坑同人車坑、三萩野坑、同人道坑及宇佐町坑の坑内に入坑させてはならない及び別紙立入禁止区域添附図面記載の1、2、3、4、5、6、7、を結ぶ線の区域内、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、を結ぶ線の区域内、28、29、30、31、を結ぶ線の区域内、32、33、34、35、36、を結ぶ線の区域内、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、を結ぶ線の区域内、50、51、52、53、54、55、56、57、を結ぶ線の区域内、58、59、60、61、62、を結ぶ線の区域内に立入らしめてはならない。但し別紙保安要員名簿記載の保安要員は之を除く。

一、被申請人組合は何れも申請人経営の小倉炭鉱各坑の別紙保安要員名簿記載の保安要員の保安の為の準備作業、入坑及保安作業を妨害させてはならない。

一、申請人の委任する福岡地方裁判所執行吏は右命令の趣旨を公示するため、適当の処置をとらなければならない。

(注、保証金五十万円)

(裁判官 古賀俊郎 安東勝 平佐力)

(別紙省略)

【参考資料】

仮処分命令申請

申請人 古谷博美

被申請人 小倉炭鉱労働組合

被申請人 小倉炭鉱鉱員組合

被申請人 小倉炭鉱再建労働組合

仮処分命令申請事件

右訴訟価格金五万円也 右貼用印紙金百円

申請の趣旨

被申請人組合はいずれもその組合員を申請人炭鉱の第二坑、同人車坑、三萩野坑、同人道坑及宇佐町坑の坑内に入坑させてはならない、及び別紙立入禁止区域添附図面記載の1、2、3、4、5、6、7を結ぶ線の区域内、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、を結ぶ線の区域内、28、29、30、31、を結ぶ線の区域内、32、33、34、35、36、を結ぶ線の区域内、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、を結ぶ線の区域内、50、51、52、53、54、55、56、57、を結ぶ線の区域内、58、59、60、61、62、を結ぶ線の区域内に立入らしめてはならない。但し別紙保安要員名簿記載の保安要員は之を除く。被申請人組合は何れも申請人経営の小倉炭鉱各坑の別紙保安要員名簿記載の保安要員の為の準備作業、入坑及保安作業を妨害させてはならない。

右命令の執行方法として標識を立て掲示をなし、其の他適当の方法を講ずると共に必要により各々坑口に柵を設け之に保安要員の出入口をつけその管理を執行吏に委託することも出来る。

執行吏は右命令の目的を達する為に必要なる設備及行為をなすことが出来る。

その設備及行為は執行吏が之を申請人に委託することも出来る。

との御命令を仰ぐ

申請の理由

一、申請人は従来より小倉炭鉱を経営し、被申請人組合はいづれも申請人炭鉱の労働組合である

但し被申請人小倉炭鉱労働組合代表者組合長島津太助は昭和三十年六月二十八日懲戒解雇を申請人炭鉱よりなされたることを附記する

二、昭和二十九年末申請人小倉炭鉱と被申請人の中小倉炭鉱労働組合との間に越年資金に依る労資紛争が発生し相ついで昭和三十年三月十六日より三十年度資金の交渉が開始せられ其の間組合員の中に正当なる組合運動の合法的限界を踰脱し暴行行為に出るものが続発し刑事問題として起訴せられるに至つたので止むなく就業規則の懲罰規定に照らし前後通じて二十名を懲戒解雇に処した

三、かくて紛争は益々尖鋭化しほとんど毎日申請人小倉炭鉱の職員は暴行脅迫不法監禁殴打傷害を受け警察官の出動を仰ぐに到つたのである。

しかも外部の煽動と尖鋭分子の徴発にもとづき坑内の保安も保たれ難き状態に陥り仮りに保安の為に職員が入坑しても被申請人組合の中小倉炭鉱労働組合の組合員内には無断で安全電燈を持ち出し無許可で入坑して坑内に於て暴行脅迫等の暴力行為が行われるに至りもはや坑内の治安は全く乱れて収拾不可能の危険にさらされるに至つた

四、故に申請人炭鉱の職員及被申請人の中右の如き暴力行為をなさざる鉱員組合並に再建労働組合の組合員も坑内の暴力行為に恐怖を感じて入坑を避くるに至つた

五、斯くの如くして坑内は全く無統制の危険状態にあるため産業の運営が止るのみならず権利は破壊せられ坑内は彼等に不法占拠せられることとなつたので申請人は莫大な損失を受けることは当然であるが人命の危険と炭鉱の破壊等を防ぐため万難を排して労調法のいわゆる工場閉鎖を実行することに決定した

六、右に述べた実情にあるので保安要員以外のものが工場閉鎖に拘らず勝手に入坑し坑内の秩序を攪乱し入坑せる保安要員の生命身体に危険があるので被申請人のいづれの組合にあつてもその組合員の保安要員以外のものの全部の入坑及本部事務所並に保安に必須の設備区域及立入りを禁止し保安の妨害を禁止さるべき本件命令を御願いに及びました次第であります

疎明方法・添付書類〈省略〉

昭和三十年八月十六日

右訴訟代理人 水谷嘉吉 外一名

福岡地方裁判所小倉支部民事部 御中

(別紙省略)

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